先日うちの本棚をしげしげと眺めてくださってるお客さんを久しぶりに目撃しちゃいました。
当店がオープンしたのは2007年、この年は初代iPhoneが発売された、いわばスマホ元年にあたります。
現在のスマホ普及率は90%を超えているようで、なるほどたいていのお客さん(主にお一人様の事を指してます)は、料理がでるまでじっとスマホとにらめっこ。
でも、まだスマホを持つ人が少なかった2010年代初めのころまでは、結構本棚を見てくださる方が多かったのです。
私と同世代もしくはちょっと上の方が手に取って「なつかしい」とおっしゃるのがわたせせいぞうさんのハートカクテル。
全巻と関連した本が数冊、本棚に収まってます。
ハートカクテルの連載は83年から89年まで。
86年の12月から91年の2月までのバブル期と重なってます。
登場する人物たちは主に20代後半くらいでしょうか。
当時の私の年齢からすればちょっと上のお兄さんお姉さんたちの物語。
肩の大き目なシルエットのジャケットやテーブルの上の洋もくとジッポ、それにBudweiserやCoorsなどの外国産のビールとか。
彼らのような洗練された日常を送っていたはずもない私が、それでも今パラパラとページをめくって懐かしいと感じるのは、
ストーリーではなくわたせさんの描く絵の中に80年代をみつけることができるからかもしれません。
バブル期のことがマスメディアで紹介されるとき、
山手線の内側の土地価格でアメリカ全土が買えたとか、
某損保会社がゴッホのひまわりを57億円で購入したとか、
そんな話とともにボディコンシャスな服を着て「ジュリ扇」を手にお立ち台にあがる女性たちの映像が流れ、
なんだか狂ったような時代でしたみたいな話が多いのだけれど(決して「ジュリ扇」持って踊っていた方を否定的に見ているわけではありませんので念のため)、
わたせさんのハートカクテルには「じゃない方のバブルの頃」が垣間見えるから好きなのです。
洗練とかスマートみたいな言葉とは程遠く、
寅さんじゃないけど「思い起こせば恥ずかしきことの数々」ばかりだったあの頃なのに、
自分の周りとは全く違う世界なのに、
「懐かしい」と感じるのは
ハートカクテルから感じられる空気感をどこかで私も感じていたからかもしれません。
スマホもガラケーもポケベルもなかったあの時代、待ち合わせしても会えなかったりしたあの頃の遠い記憶が時々ふっとよみがえってきたりして。
ニキビが顔から消えたばっかりの初々しい頃の自分がページの隅っこにいて、
ちょっと上のお兄さんお姉さんをちょっぴりあこがれのまなざしで眺めてる。
ハートカクテルをパラパラめくると、不思議とそんな感じがするのです。
~~~~~~~~~追記~~~~~~~~~
当店の本棚には他に
アウトドア関連(主に90年代に発行の物)
昭和の古い町並みの写真集
などが収まっています。
お料理を待つ間に、よろしかったらご覧になってくださいな。


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